輝き ~ 脱・三日坊主計画

要約だよ人生は

雪のおもしろう降りたりし朝

「この雪いかが見ると一筆のたまはせぬほどの、ひがひがしからん人のおほせらるる事、聞き入るべきかは。かへすがへす口惜しき御心なり。」

兼好法師徒然草 第31段 雪のおもしろう降りたりし朝』より

高校時代、私は古典文学はからっきしダメで、センター試験でも(古文漢文合わせて)37点しか取れなかった苦手な科目であったが、兼好法師徒然草のこの段はものすごく印象に残っていて好きな文章である。簡単に説明すると、『雪が降る朝に、法師がある人に用事があって手紙を書いたのだが、その手紙には用事のことにしか触れなかったため、”雪が降っていることに触れないとは趣がなくて残念だ”という体で返事をもらったことが興味深かった』という法師の回想である。

徒然草が書かれた鎌倉時代の頃から、雪がよく降るということは話題の一つとされているほどだ。このブログでネタにでもしておかないと"ある人"から私も風流のない人間扱いされてしまいそうだ。

 

weathernews.jp

今朝はまさに、「雪のおもしろう降りたりし朝」。初雪はだいぶ前に観測されているが、今日から明日にかけて首都圏では積雪が予報されているほどの久々の大降りの見込みである。積雪、と聞くとやはり思い出すのは2年前の雪の降った日のこと。

 

 

これまでに何度も話をしているように、当時の私は栃木・小山にある実家から大学まで電車で通学していた。雪の降った1月18日には1限の講義があり、私は6時半には家を出た。大学の講義は、東京に大雪警報が出されるか、大学の沿線である京王線の「新宿ー調布ー京王八王子間」、すなわち、京王線の中でも本線とされている区間が運休にならないと講義は休講にされない。「調布ー橋本」を走る相模原線すらも対象外だ。もし6時の時点で以上の条件が満たされていたならば、午前の講義は休講になるのだが、その時点では特に何の知らせもなく、仕方ないと雪の中を走る電車へ乗った。この時点で、宇都宮線はすでに遅れており、いつもは湘南新宿ライン新宿駅まで乗るところを、上野行きの普通電車に乗ることになり、赤羽駅で乗り換えることになった。

東京に近づくにつれ、電車の速度は落ちていった。赤羽駅で降りたなら、本来は新宿駅に向かうべく埼京線に乗るのだが、駅に着いた時点で、東京の交通機関はすでに麻痺し始めており、埼京線ホームがある7・8番線への階段はシャッターが降り、そのすぐ下で反対側にある京浜東北線の1・2番線ホームへとおびただしい人の行列ができていた。

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この時点でUターンしてしまいたい気持ちだったが、とりあえず進めるだけ進もうということで、京浜東北線・山手線を経由して新宿駅まで向かった。赤羽駅では混雑のために目の前で京浜東北線を4本も見送って乗ることになったが、目の前に電車が何本も来るのに全然乗れないという経験はあれが初めてだった。

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京王線のホームに向かうと、電車がまるで動いていなかった。相模原線の途中区間に至っては運休になっていた。新宿駅に止まっていた電車はすでに満員。乗ったら最後、途中駅で押しつぶされてしまうかもしれないと恐怖を感じた私は、新宿駅で居合わせた大学の友人と近くのマクドナルドに向かい、大学の休講情報とにらめっこをすることにした。その後、1限開始の45分後になって1限の休止、続いて午後の全休が発表された。職員までも雪のせいで予定の時刻に大学に来れなかったらしい。随分とずさんなお知らせだな、と憤りを感じながら新宿駅からUターンすることに。結局、実家に帰ったのは13時ごろで、6時間くらい無駄になった、なかなか最悪な日であった。今思い出しても、大学に向かおうという気持ちさえなければ・・・と思うほどである。

 

 

今朝はまだ本降りでないことから、朝の交通機関はそれほど深刻な状態ではなかったようだ。警報も出ておらず、大学では当然のように講義が行われている。しかし、雪が本格的になるのは夕方以降。多少はともかく交通機関には影響が出てくるだろう。私はすでに一人暮らしをしていることもあって電車の影響を受けることはないが、2年前の私のことを思い出すと帰宅困難になるかもしれない人々が不憫である。スケジュールがギチギチであるとはいえど、大学もここまで必死に講義をやろうとする必要はないと思うのだけれどなあ。