輝き ~ 脱・三日坊主計画

要約だよ人生は

【100記事突破記念】卒業論文に対する所感 ~ トラブル備忘録

「輝き ~ 脱・三日坊主計画」は、お陰様で昨日のエントリで100記事を突破した。読者数・アクセス数もみるみる増加しており、1日に70ほどのアクセスを頂いている日もある。ついこの前はひょんなことから連続記録を止めてしまったのだが、1日1記事のスタンスはこれからも守り続けていきたい所存である。

さて、今回は100記事突破記念ということで、少し長めのを一つ。このブログの読者ならばもうご存知の通り、昨年末から昨日に至るまで、私は大学の卒業論文の執筆と発表の準備にひたすらに明け暮れていた。発表も無事に終了し、取得単位数に関しても問題ないため、いよいよ私は大学を卒業することができる。終わり良ければ総て良しなのだろうが、この卒業論文を書いていくうちには当初は全く思っても見なかった出来事ばかりに遭遇した。

卒論や修論の執筆に際しては、引用させていただいたツイートでもあるように、「データが突然消える」とか「直前に風邪をひく」だとかのうわさがあたかも都市伝説のようにささやかれるものである。しかしながら、実際に一通りの流れを体験してみると、こういったうわさをただの脅し文句と片付けてしまうのは宜しいものではないように感じた。不思議なことだが、こういう時に限って奇妙な出来事は訪れるものらしいのだ。
そこで今回は、私の卒論執筆中に起こったヒヤリとしたアクシデントベスト5について解説していこうと思う。発表も終わったというのにまだ卒論ネタが続くのか、と読者にはお叱りを受けてしまうかもしれないが、記憶があやふやになってしまう前の備忘録としての記事ということでお許しをいただきたい。そして、この事実がこれから先に卒論を書くことになる大学生へのアドバイスとなれば幸いである。

卒論の執筆開始は予定より遅れる

卒論の執筆前には、大抵の場合1~2か月ほど前から計画を立てることだろう。しかしながら、この計画は基本的に日程通りには達成できないものであると割り切ってしまうべきだ。
例えば私の場合、卒論の執筆開始は1月の冬休みが明けたら早速、と計画を立てた。冬休み明けというのは、1月4日のことである。しかし本当に書き始まったのは、13日になってからのことであった。この空白の約1週間はいったい何をしていたのだろうか?答えは、遅れていた提案手法のプログラム実装だ。この実装は年末年始の帰省前に冬休みに済ませようなどと思っていたのだが、こちらも納得のいく出力が得られず、そううまくは進まなかった。空白の1週間は、ひたすらパラメータを変えながらの試行錯誤の時間であった。「結果が出ない」「執筆を始めたいのに始められない」と焦らされるあの瞬間は拷問にも等しいようなひと時であった。
研究というものには往々にしてゴールというものを設定しづらく、予定より遅くなることはあっても予定より早くなるということは滅多にない。私の場合は計算機上のシミュレーションが大半を占めていたから大したことはなかったが、中には実験機材のトラブル等で頭を抱える研究分野も存在する。とはいえ、計画を立てるときに遅くなるということを考慮すると、ますますその予定を超えてしまうようにも思える。初めから「この時期にまで済ませられれば最高」だという考えのもとで計画を立てるのが望ましいだろう。

コンピュータが起動しなくなる

これは年が明けてから初めて研究室に行った時のこと。いつものようにコンピュータの電源を立ち上げるも、一向にOSが起動しない。これは研究室に所属して以来初めての出来事で、この時ばかりはかなり焦った。前述の通り卒論はまだ書いていなかった時期だったが、プログラムのソースコードのバックアップ等を適当にしていたこともあり、ハードディスクが壊れたのではないかという最悪のシナリオが思い浮かんだ。実際はハードディスクの故障ではなく、ネットワーク系のトラブルが原因でディスクレスブートのOSが起動しないというものだったため、データ関連に関しては全くの無事であったが、その後もネットワーク系の不調が何度か続き、そのたびに作業を中断させられてしまった。せっかく軌道に乗ってきたところを思いもしない形で妨害され、ストレスは高まるばかりであった。
電子化が進む現代の研究において、機器の不調は断ち切れないトラブルである。最初に取り上げた「データが消える」という現象は、私は運よく遭遇しなかったが、私の先輩である修士生がUSBの接触不良によってデータを失い、1章分の\mathrm{\LaTeX}ソースを飛ばすという事件もあった。PDFのデータが残っていたことでそのPDFの文字から書き起こすという荒技によって被害を最小限に食い止めたようだが、それでも時間を失ってしまったことには変わりない。ちなみに私はgitで卒論を管理することにより、1日ごとの自動バックアップが効いている研究室のサーバーにリポジトリを立ててバックアップを行っていた。それでもソースコードの方はクライアント用のコンピュータで保存していたため、消えてしまっていたら大変な事態になっていたかもしれないが・・・。繁忙度とトラブルの間には間違いなく相関がある。最悪のシナリオは、余裕のあるうちから想定しておくようにしたい。

上書き保存を忘れた隙にアプリケーションが落ちる

卒業論文に使うツールは\mathrm{\LaTeX}ばかりではなく、図を描くのにInkscapegnuplot、発表スライドの作成に使うPowerPointなどがある。ともかくいろんなアプリケーションを使用していたのだが、このうちInkscapePowerPointはかなり動作が不安定なのだ。何気ないアンドゥ・リドゥ、オブジェクトの移動がアプリケーションの動作を停止させた。この現象にはもう何度も遭遇している。そして動作が停止するという時には、嗚呼、上書き保存を忘れているものである。作業内容が失われるだけでなく、やる気まで一気に削がれるあんまりなアクシデントだ。
最近のInkscapePowerPointは自動保存も行われてはいるのだが、その保存ファイルを開いてどこまでの作業がリカバーされているかを確認しないと作業に抜けが生じたりして、思わぬミスが残されたりするため、そればかりに頼るのは危険だ。いちばん有効な方法は原始的だが、頻繁に上書き保存をすることだろう。1度Inkscapeの処理落ちを確認して以降、私は思い立った時にCtrl+Sを押していた。数分ごとにに上書き保存をさせる設定にするのも有効だろう。長期的なバックアップに限らず、短期的なバックアップにも気を遣っていきたい。

印刷の直前にプリンターのドラムをまとめて交換させられる

研究室内の報告資料等で毎週4~50枚の印刷がある私の所属研究室なら、いつ起こってもおかしくはないはずのトナーやドラムの交換。しかし、2017年が終わるまでは全くその心配はなかった。しかし、修士生の論文の第一稿の印刷というなかなか重要な時点でその時は訪れた。4つのドラムユニットを備えるプリンターが、一つのドラムの交換を促してきたのだ。一応ドラムの替えは用意してあったから、とりあえずその一つを交換して再印刷してみようということに。交換を終えて、印刷のボタンを押すも、動作する気配がしない。どうしたものかとプリンタのディスプレイを見ると、今度は別のドラムを交換しろと促していた。このドラムユニットはどうやら前回も同時期に取り換えたようで、印刷回数的な理由でまとめての交換を迫ってきていたようだ。というわけでそのドラムユニットも取り換えてみると、今度はまた違うドラムユニットの交換を促してきた。交換が必要なドラムユニットは1つかと思いきや、なんと3つも交換する羽目になってしまったのだ。研究室にあった換えのドラムユニットも、ちょうど3個であった。流石に3個目を取り換えるときは、「これを取り換えて4つ目も交換を促されたらどうしようか」とヒヤヒヤしたものだが、その後は問題なく動作した。不幸中の幸いであった出来事だった。

発表当日のタイムテーブルにミスがある

トラブルというものは最後の最後まで付きまとってくる。研究発表のタイムテーブルは何度か修正が行われたのち、発表されるものであるのだが、それでも修正は人間の確認によるものであるからミスがつきもの。最終版は発表者の順序が変わったのだが、その際に時刻の修正にミスがあった。しかしながら、そのミスとなった時刻の分はその後の箇所にあったミスで相殺されており、私の発表は時間通りというなんともややこしい事態になっていた。そして、研究室でリラックスしてからややゆっくりと発表会場に駆け付けたところ、私の研究室の最初に発表する同期が「あと2分で発表」というところだったようだった。直前で緊張しているというのに、ますます焦らされてしまった。
今回のアクシデントはタイムテーブルの作成者にも非があることなのだが、とはいっても発表前にはある程度の余裕をもって会場入りするのが良いだろう。当日は昼休憩中に会場にてディスプレイのセッティングを行い、問題無く動作したことで安心しきっていたこともあったのだが、1セクション(休憩を挟んだグループ)前ぐらいには席について他者の発表を眺めていると、その場の雰囲気などもつかむことができるので一石二鳥だ。


以上のように、ここ1ヶ月は想定しないトラブル続きであった。この出来事は他人事かもしれないが、忙しい時に限って予想だにしないアクシデントが次々と降ってくるということは心の隅にでも刻んでおくべきだろう。

再来年、修士論文を書くときの私は今回と同等もしくはそれ以上に過酷な環境下に置かれるようになるのだろうが、ここまで書いてきたようなアクシデントは軽くあしらえるようでありたいところだ。